本プログラムの趣旨
本学で建築を学んだ卒業生が、自身のキャリアで培った知恵を在校生のためにレクチャーする、全3回の特別講義です。講師には、建築業界の既存の枠組みにとらわれず、最前線で活躍されている方々をお招きしています。後輩にだからこそ語れる「建築を学ぶことの大切さ」「キャリアの育て方」を講義を通してお話いただきます。
講師メッセージ
チャレンジをやりがいに変えて連鎖させる。
建築学は「ものづくり」の学問です。
その本質は、身のまわりの居住環境を安全で快適で豊かな状態にする「強・用・美」の工夫です。
当然これは、与条件や対象によって違ってくるので、多様な個性の上に複数の解が成り立つユニークな学問です。そこでは、カタチにする過程で新たな可能性を発見し、未知の世界を切り開いてゆくという期待が込められています。
設計者は、基礎体力と度胸を鍛え、粘り強く脳ミソと手足を動かし、未知の世界を恐れずにチャレンジできる力強さを備えねばなりません。
そのコツは、チャレンジをデザインし、やりがいに変えて連鎖させること、です。
これまで設計してきた小屋から超高層、さらには宇宙建築まで、事例を通してお伝えしたいと思います。
㈱竹中工務店大阪本店設計部 第2設計部門グループ長
宇宙建築タスクフォース(TSX)サブリーダー
佐藤 達保
(2006年修了)
神戸大学大学院修了後、2006年に㈱竹中工務店入社。現在 大阪本店設計部第2設計部門グループ長。主な作品は、サントリーワールドリサーチセンター、竹中大工道具館休憩室、シオノギ教育研修センター 他。主な受賞は、日本建築学会作品選集、日本建築士会連合会賞、日本建築美術工芸協会賞等受賞 他。設計活動と並行して、竹中工務店宇宙建築タスクフォース(Takanaka Space eXploration=TSX)を2023年に設立。 2030年代の月面基地建設着手を目標に技術開発し、世界初の恒久的な宇宙建築の実現とQOL(quality of life)の向上を目指す。
SEMINAR Vol.1
2024年度建築学専攻・教育プログラム 特別講義
発想の公式
才能・感性・センス不要の思考技術。
2024/10/4 (金)
17:00-19:00
[主催]神戸大学大学院工学研究科建築学専攻
[対象]学部生・大学院生・教職員・学外
[場所]神戸大学工学部 C3-302
[参加費]無料 自由席
[講師]今井 裕平
講師メッセージ
センスに頼らない。感性で勝負しない。
講義のテーマは「発想」です。
1回生から大学院生まで、在学生全員、そして社会人になっても役立つテーマとして選びました。
課題、卒業設計、論文、研究・・・建築を学ぶ皆さんにとって、「発想」はなくてはならない思考技術です。
先にお伝えしておくと、私は絵心がなく建築家を挫折しました。
しかし完全に諦めることができず、現在はビジネスを設計する仕事をしています。
求められるのはクライアントが思いつかない一点突破のアイデア。
そこで私の武器になっているのが、今回皆さんが学ぶ思考技術です。
講義タイトルの通り、この技術に才能や感性、センスは一切必要ありません。
むしろ、発想に自信がない方にこそ向いている技術です。
在学時に習得しておきたかったこの技術を、20年前の私に代わって学んでいただきます。
株式会社kenma代表 ビジネスデザイナー
今井 裕平
(2006年修了)
神戸大学大学院修了後、安井建築設計事務所、日本IBM、電通コンサルティングを経て、株式会社kenma設立。中小企業の見過ごされた強みを発掘して、その会社の看板商品を創り出す「フラッグシップデザイン」を提唱。代表作のメモがわりに使えるリストバンドwemoは100万本を超える大ヒットを記録。 2024年「ヒット商品を次々と生み出すデザイン会社」として、テレビ東京『カンブリア宮殿』に出演。